サラリーマン讃歌
目頭が熱くなったかと思うと俺の目からは涙が溢れた。

俺は涙した。
自分の馬鹿さ加減に。
そして友の優しさに。
目からは止めどなく涙が流れ出ていたが、俺は気に留める事もなく自然と足が玄関へと向かっていた。

「ありがちょう、たがじま!」

涙声で何を言っているのか、自分ですら解らなかったが高嶋に感謝の気持ちを伝えたかった。

「行って来い、直哉」

俺の背に親友(とも)の優しい声と優しい眼差しが注がれていた。

俺はドアを乱暴に開けると勢いよく飛び出した。

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