君への願い事
話しを聞いてるハピエルは涙ぐんでいる。

「親かてそうや。オトンは日本、オカンはアメリカ。最初はそれでもうまいこと
いってたみたいやけど私が八歳の頃離婚や。
珍しく今んところに七ヶ月も同じとこおるけどそろそろまた引っ越しやろな。
まっ、そんな感じや。すぐそうやって別れるのわかってて恋愛するなんてアホら
しいわ。」
「何と言う人生でしょう…。」

ハピエルは正座をして大粒の涙を流して聞いていた。テリーがそんなハピエルの
顔をペロペロと舐めている。

「ちょっと…。泣きたいのはこっちやで。てか、一生分の涙流したかもしれんけ
ど。」
「わかりました。何故こんなに引っ越しが多い人生か、そこから調べたいと思い
ます。」
「はぁ?」
「何度も言いますが僕はキューピッドです!
あなたに安心して恋愛をしてもらいたい!だからあなたも諦めないで!わかりま
したね!」

ハピエルは涙ながらに力強く利枝に訴えた。

「……。う、うん…。よろしく……。」

利枝もハピエルの凄みに負け、ついうなずいた。
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