王様監禁ゲーム。
掴まれていた腕が、開放された。
そして、喜一君はやわらかい笑顔で
「俺もだよ」
そう言った。
これは喜一君なりの愛情表現。
そう、愛情表現なんだ。
その愛情表現のほかに、なんにでもない。
愛されているんだ、あたし。
それでいい。
自分に、呪文のように何度も言い聞かせた。
「そろそろ、行こうか」
あたしたちは喫茶店を出ることにした。
「手、繋ごう」
まださっきの恐怖があるせいか、妙に緊張する。
ドキドキとか、ワクワクっていう、『恋』の緊張じゃなくて、
『不安』といった緊張。
だけどあたしは、それを隠すように
「うん!」
精一杯笑った。