僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「はぁ……なんだね君は…保護者でもあるまいし」
「保護者同然よ。早く帰らないと、警備員呼びますよ」
キッと睨むと、おじさんは目を丸くしてから、おかしそうに笑った。
「何を言ってるんだ。私たちは仮にもコイツの親だぞ? 意味のないことをっ」
ククッとバカにしたような笑いに、あたしは口の端だけ上げる。
何が、親。
誰が、親代わりだって?
寝言は寝て言いなさいよ。
「このマンション、あたしの祖父が所有者ですよ。あたしが一言告げれば、誰であろうとつまみ出されますけど?」
「……このマンションの所有者?」
「そうです。だから早く帰ったほうがいいですよ? ていうか黙って早く帰れっつーの!」
「な、凪っ! 落ち着いてっ」
キレ出したあたしに有須が駆け寄ってくる。だけどその前に、おじさんがあたしの名前を呼んだ。