僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
大雅は爽やかな笑みをたたえ、何か言葉をかけると有須と並んで去って行く。
ふーん……。
背が高く、割とがっしりとした体形の大雅に、小柄で愛らしい有須。俺はふつうにお似合いだと感じていた。
それに、あの視線。彗と会話する有須を見てた目は、まあまあ嫉妬を含んでいたと思う。
「ふっふ〜! 帰ってきたら、根掘り葉掘り聞いちゃお〜っと」
「……お腹空いた」
「お前はそればっかだな!」
有須を見届けてから、俺らも帰ることにした。
凪と口喧嘩しながら、たまに天然な彗に突っ込む。
本当に平凡で、穏やかな日々。
学校に行って、授業を受けて。くだらない会話をして笑ったり怒ったり呆れたりして、学校が終わればマンションに帰ってまた騒ぐ。
それが、当たり前な日々だった。当たり前だと、思うようになっていたんだ。
だけどまだ俺たちは気付かない。
おだやかな日々の裏側で、じわじわと暗闇が拡がってきていることに。
目先の温かさに溺れて、気付くことができなかったんだ。
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