僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ

手に入れたモノ



◆Side:有須



――憧れていた。


まだ、あまり互いを知らない男女が、ふたりきりで並んで歩く。


近すぎず、遠すぎず。微妙な距離を保ちながら、少し、ぎこちなく話す。


会話が途切れないように、一生懸命頭を働かせて。続かない会話に焦ったり、時には出だしがかぶったり。


そんなことが何回かあるうちに、打ち解けてきて笑顔で話すの。


そんな子供みたいなことに憧れていた。


いつかそういう日があたしにもきたらいいな、って。


心から、望んでいたの。


< 347 / 641 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop