僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
手に入れたモノ
◆Side:有須
――憧れていた。
まだ、あまり互いを知らない男女が、ふたりきりで並んで歩く。
近すぎず、遠すぎず。微妙な距離を保ちながら、少し、ぎこちなく話す。
会話が途切れないように、一生懸命頭を働かせて。続かない会話に焦ったり、時には出だしがかぶったり。
そんなことが何回かあるうちに、打ち解けてきて笑顔で話すの。
そんな子供みたいなことに憧れていた。
いつかそういう日があたしにもきたらいいな、って。
心から、望んでいたの。