僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「あのさ、今さらなんだけど。有須って呼んでいい?」
テストが全て終了した放課後。あたしは男子バレー部の部長、大雅先輩と街中を歩いていた。
「あっ、ハイ! どうぞっ!」
背の高い大雅先輩を見上げると、少し腰を折り曲げてくれた。
「そんなに緊張しなくていいよ……って、無理か」
ハハッと笑う大雅先輩に、胸がドキンと高鳴った。
学校から街までは歩いて行ける距離で、その間は話さなかったり話したり。
会話の出だしはほとんど大雅先輩で、あたしは何を話そうって考えてばかりで、会話の内容もろくに覚えてない。
「ご、ごめんなさいっ」
「え? ……何がごめん?」
不思議そうな顔をする大雅先輩に急速に恥ずかしさが込み上げて、視線を逸らす。
なんであたしってこうなんだろう……!
熱くなる頬を押さえながら、後ろに流れるアスファルトに視線を落とした。