僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ

―――――…


「痛い……首が痛い。腕も痛い」

「あたしだって体きしむわ! あのまま人を抱き枕にして寝るなんて、何考えてんの!? バカ彗!」


おかげでピクリとも動けなかったわ! 寝顔がかわいくて!


視聴覚室を後にして、清掃時間で騒がしい校内を歩く。


隣を歩く彗を盗み見て、ちらりと来た道を振り返る。


……うーん。


「彗、モテモテじゃん」


女の子たちが彗を目で追って、きゃっきゃっと騒いでるよ?


「……そういうの、いらない」


ですよね。うん、分かってたけど。


たまには祠稀みたいに、「まぁな」とか言ってみたりする気はないの?


無茶ぶりなのは分かってるけど。


「あー……モヤモヤするーっ!」

「……何に?」


得体の知れない、不安に。
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