僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「有須のこと、好き?」

「うん」


子犬みたいに頭を寄せてくる彗は目を瞑ったまま、口元を少しだけ綻ばせる。


「祠稀も好き。凪も、好きだよ」

「うん、あたしも」

「ギューッてしてあげる」

「いや……もうしてんじゃん」


あたしの腰に手を回して……変だよ彗。甘えん坊の子供みたい。なんて、それはあたしのほうか。


「……もう子供じゃないんだから。ギューなんて、いつの話よ」

「俺はね、嬉しい」

「噛み合ってないよね」


小さい頃みたいに『ギューッてして』なんて、あたしはもう言わないよ。


寂しさと、不安と、苦しさを紛らわせてほしくても。ギューッてしてもらわなくたって、平気になった。


でも、やっぱり。


「あったかい」


そう呟いたあたしの腰に回す腕を、彗はさらにキツく締めた。


ねぇ、彗……。


有須は、孤独を知ってたよ。

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