僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
『今ー? 朝の5時ちょっと前だよ』
バカか!
突っ込む気力もない代わりに溜め息を漏らし、カーペットの上に置いたままのボストンバッグを漁る。
『ねーねー、どう? どんな感じ? 同居から一夜明けた感想は』
「……はぁ? 特にねぇよ」
カラカラと静かにドアを開けバルコニーへ出ると、春風が頬を撫でた。
「つうかお前……今どこ?」
欠伸混じりに聞くと、電話の向こうから楽しそうな笑い声。
『眠そうだね。同居人と夜更かしでもしたの?』
「あー……まあ、したか? 疲れて早く寝たけどな」
『ねぇ、その人たちどんな人? ふつうの人?』
取り出した煙草に火を付けた。ジジッと葉が燃える音がして、ゆっくりと煙を吐き出す。