7月7日、逢いたくて


「織葉ちゃん。」

物思いに更けていると
名前を呼ばれたあたしは、その声に誘われるように振り返る。



「つぐみさん!」

そこに居たのは
館長の愛娘、つぐみさんだった。


つぐみさんはあたしと入れ違いで三島プラネタリウムを辞めて、今は一児のお母さん。

だけどプラネタリウムに通い詰めていたあたしとは、もちろん顔見知りで。



きゃあ、と声をあげたあたしはつぐみさんへ駆け寄った。



「お久しぶりです!まさかつぐみさんが来てくれるなんて!」

「織葉ちゃんがハワイに行くって聞いたから、見送りは行こうと思ってたんだ。」

「そうなんですか!ありがとうございます!」



喜びを隠せないあたしに
館長は仕事で来られないの、とつぐみさんが謝ってくれた。

あたしは首を横に振って
「いいんです、館長には昨日挨拶したので。」と答える。



すると、目尻を下げてつぐみさんが笑った。

その優しい笑顔が、やっぱり館長に似てる、と思う。




「…行くんだね、彼方くんの所。」

急に改まったつぐみさんが、あたしを真っ直ぐに見据えた。



「……はい。」

「向こうはこっちよりも星が綺麗に見えるよ。」


そう言われ、胸が詰まるような思いがあたしの心を通り抜けた。




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