7月7日、逢いたくて


ぎゅっと心臓が縮むような感覚。


会いたい、と心底願って訪ねて来たくせに、なかなか振り返る事が出来なかった。



きっと、溢れ出るモノを止める自信がなかったからだろう。

振り向いた瞬間
やっぱり耐えきれずポタリ、と落ちた涙があたしの視界を滲ませた。




「…彼方、」

一歩、足が進む。


何度も心で呼び掛けていた名前。


この日を夢見ては泣いて、募る想いに胸が張り裂けそうだった。



たった一年。

だけど、あたしにはその一年が長すぎて。



「…彼方…っ、」

震える声が
もう一度彼の名前を口にした時、更に涙を誘った。



そしてあたしは、人の目も気にせずその場にしゃがみ込んで泣きじゃくった。



言いたい事はたくさんある。

伝えたい事もあるのに、何故か言葉ではなく涙にしかならない。




彼方はゆっくりとあたしの元に歩み寄ると

「こんな所で泣くな、バカ。」

と、ぶっきらぼうに言い捨てたけど
背中を撫でてくれる手は、相変わらず優しかった。








< 110 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop