7月7日、逢いたくて


「オリ…?」

俯いたあたしに、彼方の声が戸惑いがちに投げられる。



でも、あたしは顔を上げられなかった。

と言うよりも
心がみるみると小さくなって、もう何も考えられない。



そんなあたしに、彼方は困ったような声色で言う。


「どうしたんだよ?何か今日のオリ、随分大人しいじゃん。」

だけどその言葉は
どこか、からかっているようにも聞こえる。


あたしは噛み締めていた唇を解き、ようやく吐き出した。



「…あたし、帰る。」

「は?…っおい!」


悔しくて、悲しくて。



あたしはここに何をしに来たんだろう、とか

やっぱり来なければよかった、とか


そんな悲観的な言葉ばかりが脳内を占領していく。



「オリ。なぁ、オリってば。」

「………。」


…嘘つき。


「どうしたんだって。俺、何か言った?」

「………。」


追い掛けてくる彼方に、あたしは立ち止まらず早歩きで進む。



そして、展望台の出口に差し掛かった時。




「――――織葉!」






< 113 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop