7月7日、逢いたくて


プルル…プルル…、


一定のリズムを保ち、電話の向こうから聞こえる呼び出し音。



しばらくすると

『お留守番サービスへ接続します…』

聞き慣れた声でそう言われ、あたしは溜め息混じりに携帯を耳から離す。


これで何度目だろう。


こうして、彼方に電話を掛けるのは。


今日だけでもう4回も掛けてるのに
電話は一度も彼方の声を聞かせてくれなかった。

いや、今日だけじゃない。


陽平が最後に来たあの日から
彼方は電話もおろか、プラネタリウムにですら顔を見せていないのだ。



「そんなに研究が好きなの?」

と、鳴らない携帯を睨み
あたしは再び仕事に取り掛かる為、休憩室を出る。



カウンターへ戻る途中、あたしはある場所で立ち止まった。



そしてぶら下がった短冊を一つ手に取ると
ふっと顔が綻ぶ。


“こんどのリレーで、一位になれますように”


うちのプラネタリウムでは
毎年笹の葉を飾り、自由に短冊へ願い事を書いてもいいようになっている。


6月の終わりから始めるそのイベントは、毎年たくさんの願い事がぶら下げられてゆく。




色とりどりの短冊を見上げ、あたしは心の隅で小さく願った。




―――彼方に、会えますように。






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