7月7日、逢いたくて


ドームの扉を開けると、聞き慣れた音があたしの耳を掠める。


…カチャ、っと機械をいじる音。

瞬間、ドキンっと心臓が跳ね上がった。



「彼方!?」

勢いよくドームに駆け込む。




だけど、すぐにそれが彼方ではないとわかった。


「…どうしました、そんなに慌てなさって。」

「館長…、」


そこに居たのは、言うまでもなくここの館長で。


まるで
波が引いたような感覚。

館長には悪いとは思ったけど、明らさまに顔に出してしまってあたしは慌てて笑顔を作った。



「すいません、彼方かと思って…。」

えへへ、と笑って誤魔化しホウキを手に素直に謝る。


館長はちっとも気に留める様子もなく
「そうですか。」と優しく笑って再び作業に取り掛かった。


あたしも館長の背中を向け
掃除を始める。




だけど、ふと違和感に気付いた。


そして、ホウキを持つ手を止めたあたしは

湧き上がった違和感を館長に向ける。




「…館長、何してるんですか?」





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