戦国サイダー
早くこの場から立ち去りたかったけど。


無言の鬼虎からくる圧迫感か、恐怖感か、足は動きそうになかった。


勿論口なんてもってのほか。



何か言いたいことがあるなら言って欲しい。


このままどうしろって言うの? 黙ってないではっきり言えば――?



「つっ……!」



そう考えた瞬間、私の背中が廊下の壁とくっついた。


タンクトップの胸元を掴まれ、押しつけられた感じ。



……これ、仮にも女の子にすることじゃないと思う。



「……痛い」



精一杯の抵抗、こんな目に合うの、何度目だっけ。


でも今回は、余計なことされるなら全力で逃げる、そう決めて鬼虎の冷たい瞳を睨み返した。


 
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