戦国サイダー
ただ、こういう態勢になったとはいえ、鬼虎は何かを言いあぐねてる雰囲気だった。


だからこっちも身を固くしてしまう、どんな形であれ突如行動を取られたら対応できなくなる。



「昨日」



油断は禁物、と持ちうる限りの危機察知能力をフル稼働させていたところ、思いの外小さな鬼虎の声が聞こえた。


その顔はどこか苦悶の表情を浮かべている。



「……共に、おった……男は」


「……え?」



昨日、共にいた男?


って由惟さん? あれ、何で知ってる……



「質問に答えろ」



ああ、どこから考えたらいい?


急激に身体の温度が下がってゆく、暑さのせいだけではない汗が額に滲む。


 
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