戦国サイダー
何で知ってるのか、それはその現場を見たから、すなわち一緒にいるところを見られてた。


それで質問とは、つまり相手が誰かを聞いているのか、この場合は氏名とか身分とかの話ではないのだろう。



「誰でも、いいでしょ」



頭がうまく回らない、でもその隙をついて口は動いた。


まるで脊髄反射みたいに、お決まりの台詞を吐く。



「鬼虎には関係な――」



バンッ――と私の顔の右側に手が打ちつけられた。


板の壁に穴が開いたんじゃないかと思うぐらい、勢いよく。


右の頬が、当たってもないのにちりちりする。



見返せば、苦しさはどこへやら、鬼虎の顔は無表情になっていた。



「正直に答えろ」



どこまでも威圧的、その態度に今度は体温が上がってゆく。


 
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