戦国サイダー
「もう少し、可愛い奴かと思っていたがな」


「ご勝手に」



もうこれ以上何も言いたくない、聞きたくない。



「自惚れるでない」



その台詞を聞いたのは、二度目。


でも一度目とは何もかもが違った。



もう、ダメ――



「それはあんたでしょ! いい加減にしてよ! 私はあんたのものじゃないんだから!!」



勢い任せに罵って、手首を握っていた左手を離して鬼虎の両胸を突き飛ばす。


それで飛ばされるような体格じゃないけど、意外な展開だったのか鬼虎は私の胸元から手を放し、一歩ほど後ろに下がった。



顔が熱い、こめかみ辺りが脈を打って、じんじんする。


もう、目の前がよく見えてない。


 
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