戦国サイダー
だって。



だって、





「思李」



もう動けなくなりそうになった私の耳に、優しい声。


それは、今まで聞いたどんなものより愛しい声。



ずるい。



顔を向ければ、微笑んでいる。



でもその瞳は、私をしっかり見据えている。





いつでもその瞳は、真っ直ぐなんだ。



強く握られた手を、めいっぱい握り返す。



零れそうになった涙は、頑張って飲み込む。



怖い、怖い、けど。



一緒に、ゆっくり鳥居をくぐった。


 
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