Mr.キューピッド
「ナナトぉ、何か俺今日気持ち悪いんだけど。吐き気酷いんだけど。」
「知りませんよ……ってか止めてください、俺食べてるんです。」
昨日が過ぎて朝になった。
適当なものを食パンに挟んで食べていたら、ソファーにいた滝本さんがむっくりと起き上がって、俺にそう言い放った後癖のある自分の髪の毛をクシャクシャとかき混ぜる。
「あー……飲みすぎてキモいわ。」
飲みすぎのワリには寝起きはいつもと変わらないと思うんだけれど……敢えて言わないでおこう。
滝本さんの寝起きは大体愚痴から始まる。
『腹減った』とか『寝たりねぇ』とか、俺にはどうしようもないことばかり。言われてもしょうもないから適当にあしらうのだけれど。
「それじゃあ滝本さん、俺報告書提出しに行って来ます。」
食パンサンドを全て食べ終えると、俺は席を立って自分の部屋の方を向く。
準備をして廊下へ出ようとしたら滝本さんに薬を貰って来いと頼まれて、仕方がなく帰りに医務室へ寄ることになった。
面倒だけど仕方がない………二日酔いで仕事を休まれるのは困るし………いや、元々仕事ってそんなに無いけれども。
最近の人間は結婚まで発展する人が減ってきてしまったらしく、キューピッドは結ばれ合う『可能性』が高い人達しか手伝えなくなってしまったとか。
滝本さんは『嫌な世の中になった』って言っていた。
俺には……よく分からないけれど、滝本さんに言ったら『分からなくていいんだ』って言われた。
……何かあったのかな?