ドラゴン・テイル【外伝】

『大丈夫か?』

 森を抜けたところに広がる川辺の草原に降り立ったヴァルザックは、そっとウルを降ろすと心配気に問いかけた。

「……あんまり…竜酔いした…」

『…新語か…?』

 竜酔い…上手いと言うべきか、バカかと言うべきか…。

 複雑な思いで難しい顔をするヴァルザックを見て、ウルは少し安心した。

 ─いつものヴァル……だよな……?

 レッドドラゴンと言葉を交わしていたヴァルザックは、どこかピリピリした雰囲気を出していた。

 だが、今ウルに向ける視線には、優しい眼差しが含まれている。

「……なぁ、ヴァル…」

 ゴロンと大の字で仰向けに転がり、ウルは胸につかえた疑問を口にした。

「ドラゴンは、本当に人間を喰うのか?」

 是非とも否定してほしいと思いながら、ヴァルザックの表情を読もうと視線を向ける。

 そこにあったのは、人型のヴァルザックの顔で。
 予想もしていなかったウルは思わず吹いた。

「え? 何だ、喰ってほしかったワケ?」

 悪戯っぽくニヤッと笑うヴァルザック。

「…………お前が言うと何故か変な意味に聞こえるな……。
 っつーか何で人型なんだよッ!」

 半ば八つ当たり気味に言うウル。

「…変な…って……。
 そもそも、人型じゃねぇと料理作れないだろ?」

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