ドラゴン・テイル【外伝】
─料理?
確かに、ヴァルザックの手元には小さな短剣が握られており、どこから仕入れたのかわからないキノコを刻んでいる。
─そう言えば、朝から食べてないな。
朝は、全身の痒みのせいで食事どころではなかった。気が付けばもうとっくに昼時を過ぎている。
「腹減ったろ? 飯が出来るまでコレでも食ってろよ」
言って、ヴァルザックはキノコ同様、どこからか赤い物体を取り出すと、ウルに投げ渡した。
丸く、艶やかなソレを受け取り、
「何だ? これ。
どこで採ってきたんだ?」
手の中でクルッと回して眺めてみる。
「滝の近くの木で。
何の実かは知らねーけど、毒はねぇよ。
しかも意外と美味いんだ」
物珍しげに果実を見るウルに、料理の手を休めることなく言うヴァルザック。
─皮ごと食べるのか? まぁ、ヴァルがそう言うなら多分美味いんだろうな……。
意を決したように一口。
だが、その実を口に含んだ瞬間、強烈な酸味が広がり、思わず吐き出した。
「うぇッ! ペッペッ! すっぱ…ッ!
何だよコレッ?!」
ウルの予想外の反応に、一番驚いたのはヴァルザック。
「すっぱい? そんなはずねぇよ。
俺が食った同じ果実は甘くて美味かったんだぞ?」
貸してみろとばかりに伸ばす手に、ウルは果実を乗せた。
それをそのまま口に運ぶヴァルザック。
.