コピー
山口先生の料理は本当にまずかった。
家庭科の授業でしか料理をしたことのない料理初心者の自分の方が上手いのではないか?
機械の助けは借りなかったらしい。
ポリシーか?
料理を食べた後、とりあえず腹だけは満たされた(心は満たされていないが)ので先生から繰り出される、様々な質問に答えていると、先生の顔色が徐々に変わって行き、
「君の記憶における世界の在り方と実際の世界の在り方はかなり違うことだけは分かった。
君の口から飛び出すことは、まるで歴史の教科書の真ん中くらいに載っていることのようだ。」
とおっしゃった。
「じゃあ、そうだな。
実際の世界の在り方を大ざっぱにでも話そうか。」
この世界では脳に電極を埋め込み(普通に安全な作業らしい)、それを機械と対応させることで、完璧なバーチャルリアリティーを実現しただとかなんとか。
その他、色々、僕の想像を遥かに上回ったことばかりを聞かされた。
そりゃ、まあ、ある人間を丸々コピーして「元々いなかった人間」を作ることだって出来るのだからな。
「僕の記憶が大分間違っている、ということだけは分かりました。」
「やはりこれだけズレがあるとなると全部話すのは面倒だな。
実際に身体で本当の世界を感じた方が早い。
外に行こうか。」
「えっ!?」
外出るのは危険ではなかったのか?
「それとも、ここで私から長々と実際の世界について説明を受け、誰かに見つかって死にたいのか?」
「分かりましたよ。
行きますよ。」
先生はその言葉を聞くと、ドアまで歩き、それを開いた。