続きは、社長室で。


どんどん、血の気を失っていくみたい・・・




「ムリヤリ、抱かれているんだろ?」

「・・・っ――!」


どうしてそれを・・・?


背中をツーと冷たいモノが流れていく。




「東条くんは君を、ストレスの捌け口にしかしていない。

行動で一目瞭然だ、君も分かっているんだろ?」


その言葉に、必死で頭を振った。


違う、社長は・・・


否定をしたいのに、声が出てくれない。



さっきから、クラクラと眩暈も感じて――




「好きな人が辛い目に遭うのを、黙ってみていられない。

東条のように最低で、阿漕な人間じゃないからね。」



「・・・っ・・」


チガウ・・・!!


声が出ない代わりに、溢れ出した涙。



ボロボロと大粒の涙が、流れていくのに・・・



そんな密かな抵抗さえも。


最後の言葉が、なし崩しにしてしまう。






「彼にはれっきとした、婚約者がいるんだ。」



あまりにも残酷な、嘲笑とともに――






< 75 / 266 >

この作品をシェア

pagetop