レインブルー

順調みたいだな、と背後でクロの声がした。

藤木先生の背中を見つめながらあたしは答える。


「まあね」


クロと目が合う。

クロは笑っていた。


ほら。

いつだってクロはあたしの鏡。

だからあたしはその鏡を壊すわけにはいかないの。



「それで昨日藤木先生と何があったの」

「秘密」

「俺にも内緒ってこと?」

「うん」


クロは不満だったのかふてくされた顔をする。

それが面白くて、あたしははふふっと笑った。


「こっちのことは心配しないでいいから。クロは七瀬先生のことをちゃんと見てればいいの」


授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響く。

チャイムの音に紛れてうん、と呟いたクロの声がしっかりと耳に届いた。
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