レインブルー
そう。
何もかも順調。
あとはクロが頑張ってくれればあたしたちの願いは叶う。
藤木先生が育てた花が優しい風に吹かれてゆらゆらと揺れている。
「何してるの」
後ろから声をかけられて、あたしは花壇から離れた。
「ううん。何でもない」
「行こうか」
「はい」
バタン、とドアを閉めると同時にエンジンの音が車内に響いた。
あたしは窓の外に視線を移した。
きらきらと輝いたネオン。
アルコールの匂いが混じった淀んだ空気。
学校から北方向に走り出した車は夜の街へと繰り出していく。
あたしはここが嫌いじゃない。
ここを歩くみんなが独りぼっちだから。
誰かを求めたくて仕方ない顔をしてるから。