吸血鬼の花嫁


ゆっくりと吸血鬼が体を起こす。

見たことのない青く長い髪と冷たいアイスブルーの瞳。


人じゃない、証。


「客人?」


吸血鬼の発した声に私は動けなくなった。

体の奥まで凍りつかせるような力のある、声。


感情のない冷たい響き。



負けてしまう。



私は、逃げ出したくなる気持ちを抑えつけて、十字架を力いっぱい吸血鬼に投げ付けた。




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