吸血鬼の花嫁
「人の子風情が…」
吸血鬼は呟くと、私の腕を強引に掴んだ。
「…痛っ!」
逃れようとしても、強い力に阻まれる。
私は金縛りあったかのように、動くことが出来なかった。
…怖い。
じっと私を見つめる瞳が、怖くて堪らない。
何をするつもりなの。
そう叫びたいのに、声にならなかった。
「祝福をやろう、人の子よ。
お前に、呪いのような祝福を」
そう言って吸血鬼は、赤く血に濡れた指で、私の唇に触れる。
冷たい感触が唇の熱を奪っていく。
吸血鬼の指先は、鉄の味がした。