吸血鬼の花嫁


ザク…ッ。


「あっ」

少年が間に割り込むより先に、私のナイフが吸血鬼の頬を切り裂いた。



赤い血が、流れる。


吸血鬼は無表情のまま自身の血にゆっくりと触れる。

指先が赤く染まった。



そして、氷の眼差しが私を捉える。



ただ見ているだけなのに、気圧されて体が震えた。


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