吸血鬼の花嫁
突然、少年がぽんぽんと私の頭を撫でる。
「あんた、いい子だな」
そして、真顔で言った。
年下の男の子にされると、自分が小さな子になったみたいだ。
私はそれがおかしくて、少しだけ笑う。
「ルー、そいつと娘二人を城へ運んでおいてくれ」
吸血鬼の指示に、少年は面倒くさそうな顔をした。
そいつとは、ナイフで刺され死んだように固まっているもう一人の吸血鬼のことだ。
「俺が運ぶのか?」
「私に運ばせるのか?」
少年が無言で青髪の吸血鬼を見上げる。
吸血鬼も無言で茶髪の少年を見返した。
「……。分かったよ、往復すればなんとかなるし」
根負けしたのか、やれやれというように少年は肩をすくめた。