吸血鬼の花嫁



変わらない日常が始まった。

朝起きて、薪を火にくべて、よく寝坊するレイシャを起こして。

「あの時、お姉ちゃんといた人、凄く綺麗だったねぇ」

なんてのんびり言うレイシャに、あの男が吸血鬼と知ったらどうするんだろう、なんて思ったりして。

私はレイシャと喋りながら、朝ごはんの野菜スープを口に運んだ。


……?

何か、おかしい。

いつもと同じスープのはずなのに、いつもと違う。


「レイシャ、このスープ何か変じゃない?」

「え、そんなことないよ。いつも通り美味しいけど」


私は、もう一口スープを啜った。

…食べ物の味がよく分からない。


「どうしたの?」

「味がよく分からなくて…」

「風邪引いたのよ、きっと。吹雪の中、私を助けに来てくれたんだから。今日は寝てて!」


レイシャは私を無理矢理ベットに寝かせた。


風邪…。

そうなのかもしれない。

ちょっと、疲れただけ。


きっとそれだけだ。



< 27 / 155 >

この作品をシェア

pagetop