吸血鬼の花嫁
変わらない日常が始まった。
朝起きて、薪を火にくべて、よく寝坊するレイシャを起こして。
「あの時、お姉ちゃんといた人、凄く綺麗だったねぇ」
なんてのんびり言うレイシャに、あの男が吸血鬼と知ったらどうするんだろう、なんて思ったりして。
私はレイシャと喋りながら、朝ごはんの野菜スープを口に運んだ。
……?
何か、おかしい。
いつもと同じスープのはずなのに、いつもと違う。
「レイシャ、このスープ何か変じゃない?」
「え、そんなことないよ。いつも通り美味しいけど」
私は、もう一口スープを啜った。
…食べ物の味がよく分からない。
「どうしたの?」
「味がよく分からなくて…」
「風邪引いたのよ、きっと。吹雪の中、私を助けに来てくれたんだから。今日は寝てて!」
レイシャは私を無理矢理ベットに寝かせた。
風邪…。
そうなのかもしれない。
ちょっと、疲れただけ。
きっとそれだけだ。