涙恋~RUIRENの魔法~
そう言って泣く彼女を
男の人は愛しげに抱く


そして静かに私を見た・・・・・・


女の人も顔をあげた。



  あ・・・・・


「あ・・・・あなた・・・・・」

女の人は目を丸くした。


「おねえさん・・・・・・・」
あの日のおねえさんだった。
ライブハウスの帰り道
好きな人の話をしてくれた・・・・・・


  その人って 優・・・・・・


「私の愚痴を聞いてくれた・・・・・・」

「おねえさんが話してくれたのは
優のことだったの?」


優の愛してる人って
あなたなのね・・・・・・・・・」




おねえさんは
私のほうに歩み寄ってきて
優しく抱きしめてくれた。



「運命なのね・・・・・
あなたが優の愛してる人だったなんて・・・
優のこと
お願いします・・・・・
私の長い片想いは、今日やっと
終止符を打ったから・・・・・・
あなたは優を抱きしめてあげてね。」




「抱きしめてもいいかな・・・・」
まだ信じられなかった・・・・・


「病室に行ってみて。
何も言わずに今の彼を
抱きしめてあげて・・・・・・・・
それがあなたの幸せなら・・・・・・
辛くても悲しくても
彼をささえてあげてね・・・・・・」


「ありがとう。
おねえさん・・・・・・」


「私は四季、田澤 四季・・・・」

あれん・・・・嶋村 亜恋です。」



四季さんは
私を強く抱きしめた。


「優をよろしくね。
亜恋ちゃん・・・・・・・・
さ、早く、彼のところに行ってあげて・・・」


四季さんは私の背中をおしてくれた。


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