涙恋~RUIRENの魔法~
最近こういう会話に敏感になってるのは私



私は気が付いていた。
優が昼の弁当を食べていないこと
朝寝ぼけ眼で
卵焼きを作った。

昼お弁当を食べたとき
驚いた。


砂糖と塩を間違えたので
口で噛んだ瞬間に思わず
吐きだしてしまった。
優は甘めの卵焼きを好んでいたから


帰ってきたとき
恐る恐る
何気に聞いてみた。


「お弁当、美味しかった?」


「うん、すげーうまかった。」
優は答えた。


  ん?


「卵焼きは?」


「ちょうどいい甘さだったよ。
だんだん上手になるな。」


不審に思って



数日後同じことをして
繰り返し
聞いた。


それでも 優は美味しいといった。



  食べてない?


朝食も私がいる時に食べなくなった。


「後で食べるかな・・・・・」


夕飯も

一週間に三度は


同僚の先生たちと食事してくるという。
おかしいと思った。



私は、不安にかられた。

もしかしたら
優は体調が悪いのでは・・・・・・



またさらに痩せたような気がする。

夜中目が覚めた時
隣に優がいなかった。
静かに耳を澄ますと
玄関の扉の向こう側から
呻き声が聞こえた。


あきらかに痛みに苦しむ声だった・・・・・
私に隠して
耐えている姿に気がついた。


私は気付かないふりをして
笑顔で優を見つめる。


学校に出かけた時
忘れ物に気が付き
家に戻ったとき、私は確信した。


体を丸めていた優が
のたうちまわって
嘆く姿を見て・・・・・・

もしかしたらこの生活は
もうすぐ終わってしまうかもしれない。


入院したら
ここに帰ってこられるだろうか。


優が痛みを耐える分だけ
私は涙をこらえる。
二人でいる時は、明るく幸せに過ごしたい。


でも・・・・・優の叫びが聞こえる。


神さま・・・・・


優をまだ・・・・連れていかないで・・・・・・・
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