涙恋~RUIRENの魔法~
「俺みたいな悲しい恋じゃなくて
愛斗みたいな高校生らしい子と
楽しい恋をしてほしいって
あの時は、そう思ったんだ。
まじめに・・・・・・
でも亜恋は俺を選んでくれたんだな。
でも結局は
もっと悲しい思いさせることになって
本当にごめん・・・・・」


「私が望んだことだよ。
ユウくんと一緒にいることは・・・・・・
幸せだよ。
今だって・・・・・・
きっと私が死ぬ時まで
ユウくんのことは幸せだったって思う。」



優は私を強く抱きしめた。


「最後まで、俺は
亜恋のために生きるから・・・・・
亜恋のためにがんばるから・・・・・
俺を見守ってて・・・・・
最期の時は笑顔で・・・・」


「はい・・・・」



コーヒーの苦いにおいがした。


私の荷物もしっかりと用意されていた。



「今日は学校休みでよかった。
一緒に病院行ってもいい?」


「病院行く前に
もう少しやりたいことが
あるから、実家で待ってて。」


優は、やることばかりだと
少しさびしくなった。




部屋を出る時
何度も何度も振り返る優


私たちは手をつなぎながら振り返る。



「はじめてここに住んだときは
すごく孤独で、不安で
この先どう生きようか悩んでばかりいた。
亜恋と再会して
亜恋のことばかり考えた。
それから
亜恋がここに住むことになって
ここは俺にとっての
最高の部屋になった・・・・
窓から見える海も
色を変える空も・・・・
静寂の中で聞こえる波の音も・・・
潮の香りも・・・・
今の俺の中では
最高の場所だったな。」



「お世話になりました。」

優が頭を下げた。


その時車が停まって
中から子供が二人出てきた。


「中村先生!!」

小学生くらいの男の子が二人
走ってきた。


「あれ?どうしたの?」


「よかった、間に合って!!
これから学校だし~
先生が辞めちゃうって聞いたから
急いであつめたんだ。」

そう言ってきれいな包装紙に
つつまれた包を
優に渡した。
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