tone
『レの♯』

『正解。次は……』


ポーン。


『ラ。』


『正解。次は……。』


と、10問くらい問題が出された。


あたしは見事全問正解。


『やっぱ歌音には叶わないな~……。』


と、悔しそうな顔をした奏ちゃん。



『じゃあこの曲に聞き覚えはある?』


と、奏ちゃんはある曲を流した。









『雫が垂れ落ちる。

雨に濡れた二人。

ただ1つ熱を帯びてる、


あなたが掴んだ手……。』



それからはよく覚えてない。


ただ胸に何かが込み上げた。


途方もない哀しさ。


裏切りと絶望に立たされた後ろめたさ。


あたしの頭の中には、時々ガガガッとうやむやな所もあったけど、


あたしはあるイメージが浮かび上がった。









ピチョン、ピチョン…。


ザザザザザァーー


『話しを聞けよ!!』


『離して!!』


パチッ!!


『信じてたのに……。


こんなの酷いよ……。』


バシャバシャバシャバシャ……。


『歌音!!!!』









『歌音!?』


『えっ!?


あ、あたし……。』


『ごめん。いらない事した?』


腫れ物を触るかのようにあたしを扱う奏ちゃん。


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