Rainy-Rainy
何言うたか知らんけど、静香の逆鱗に触れてもうたみたいや。

阿呆やな。

どうせ鬱陶しいとか嫌いとかそんな感じの事言われたんやろ。

落ち込み様見てたら、簡単に予想出来るわ。


「失敗した…」

「ウチはお前の好感度が幾ら下がっても興味ない。けど、あんま静香の機嫌悪すんのやめといてな」


只でさえ昨日機嫌損ねてもたトコなんやし。

それに、最近は静香の調子もちょっと変や。

あんまり、気ィ煩わせたない。


「苦しくなって来た」

「は?」

「贅沢言って許されないのは理解してる。それでも、アイツの笑顔が重い」


たった独りきりの空間で独り言を呟くように、桂は宙を見つめて語り出した。

それは、まるで罪人が自身の罪を告白するみたいに重苦しいもんやった。


「分かってる。笑顔を奪ったのは俺だ。笑い掛けて貰えるだけでも、身に余るんだって。それでも、あの笑顔は……」

「死にたなる」


ウチの言葉に、桂は短く息を吸ってゆっくり頷いた。

ああ、その気持ちは十分過ぎる位に分かる。

ウチも同じやから。

静香のあの空っぽの笑い方は、ウチらの心を抉り取る杭や。



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