恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
そのときのジャンプの高さといったら、バレーの試合のとき、ネット際で相手コートにアタックするときに見せるジャンプと同じくらい……いや、それ以上のハイジャンプだったように見えた。……少なくとも、あたしの目には。



「おぅおぅ、見せつけてくれちゃってよォ。お前ら、カミさんに逃げられた男の目の前で、爽やかな青春の1ページを見せびらかしてんじゃねぇ、っつーの。あ~ァ、つまんね。オレ、帰るわ。……ってか、おっさんの店で一杯やってくるわ」

並んで座っていたベンチから立ち上がると、後ろ頭をポリポリやりながら、あたしとセンパイに背中を向けて歩き出すミュウト。

その背中が、なぜか少し淋しげに見えた。


「ご……ゴメンね……ミュウト」


「なんで謝る?」

背中を向けたまま、振り向かないで歩きながらミュウトが言う。


「だって、あたし、ミュウトのこと……」


「お前はオレがコノ公園で、“みゃあ、みゃあ”鳴いてるところを拾ったねこだ。ねこなら、ねこの目のようにコロコロ気まぐれにキモチが変わってもしかたねぇだろ。罪はねぇ」

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