恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
…と次の瞬間、急に鼻がムズムズして…、

「ヘックショラァっ!」

…と、まるで昭和の時代のコントでやるようなクシャミが出た。

もし誰かに見られてたら、一生お嫁にはいけないかもしれないほどブサイクなクシャミ。

おまけに目がショボショボしてきて、涙がポロポロあふれ出てきた。



「今のクシャミ、お前? オレはてっきり、どっかのおっさんかと思ったぜ。こりゃあ、100年の恋も冷めるな」



突然、しゃがみ込んでいるあたしの頭上から、若い男のヒトの声がかけられた。

それも相手を小馬鹿にしたような言い方の。


心臓が止まりそうなくらいビックリしたあたしが、首をすくませて振り向きながら、頭の上を見上げると、そこには見知らぬ男のヒトの顔があった。

茶色がかった髪はルネサンスの西洋画に出てくる天使みたいに毛先がくるんってなってて、その整った顔立ちとあいまって、夜なのにキラキラと後光が射すほどのイケメン☆

どことなく“夜行性”な雰囲気が漂うイケメンで、水商売風な感じはしたけど、目元に特有の鋭さはなくスレた感じはしなかった。


< 3 / 205 >

この作品をシェア

pagetop