恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
「せ、センパイ、なにするんですかっ!?」
「ごめん、ごめん、ワザとじゃないって♪ ……ってか、超ウケる♪ アハハッ♪♪」
頭のてっぺんから、つま先までズブ濡れのあたしを指差して笑うセンパイ。
「ひ、ひどいっ……ひどいですっ……」
「なによ。ちょっと押したくらいで噴水になんか落ちないでよ。ふんばりなさいよ。もっと下半身の筋肉を鍛えないとダメね」
「そ、そんなっ……そーとー強く押したじゃないですかっ?」
「アンタ、下半身弱すぎ。だからレシーブだってうまくできないんだよ。……ってか、アンタ、バレーに向いてないと思う。辞めちゃいなよ。もう練習に来なくていいよ。主将の権限でアンタの退部を許可するから」
「…っ!?」
センパイの狙いは分かってる。あたしが部活に来なければ、体育館で井川センパイに会うこともなくなる。
そのうえ、あたしは1年生だから部活のとき会えないとなれば、もう井川センパイとの接点は一切なくなることになる。
あゆみセンパイは、あたしを井川センパイから引き離そうとしてるんだ。