恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~

みゃあ…、みゃあ…



キモチが静かになったところで、どこからか“こねこ”の鳴く声が耳に流れ込んできた。

そーいえば、さっきトイレの個室の中で服を絞っていたときも、こねこの鳴き声が聞こえていたような気がする。



みゃあ…、みゃあ…



こねこの声に導かれるように、その声の出どころを探し歩くと、“灯台下暗し”じゃないけど、意外にも公衆トイレの裏に、なにやら書かれた貼り紙のしてあるダンボール箱を見つけることができた。

その前にしゃがみ込んでフタを開けると、中ではまるで生きてるぬいぐるみみたいな“こねこ”が3匹でみゃあ、みゃあ鳴いてた。


「かわいい~っ♪」


そう言い終わるか終わらないかのうちに、思わずシロの1匹を抱っこしてしまう。

「あったかい……」

春とはいえ、まだ冷たい水に頭から浸かって冷え切ったカラダには、こねこのぬくもりがカイロのように感じられた。
< 60 / 205 >

この作品をシェア

pagetop