恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
みゃあ…、みゃあ…
キモチが静かになったところで、どこからか“こねこ”の鳴く声が耳に流れ込んできた。
そーいえば、さっきトイレの個室の中で服を絞っていたときも、こねこの鳴き声が聞こえていたような気がする。
みゃあ…、みゃあ…
こねこの声に導かれるように、その声の出どころを探し歩くと、“灯台下暗し”じゃないけど、意外にも公衆トイレの裏に、なにやら書かれた貼り紙のしてあるダンボール箱を見つけることができた。
その前にしゃがみ込んでフタを開けると、中ではまるで生きてるぬいぐるみみたいな“こねこ”が3匹でみゃあ、みゃあ鳴いてた。
「かわいい~っ♪」
そう言い終わるか終わらないかのうちに、思わずシロの1匹を抱っこしてしまう。
「あったかい……」
春とはいえ、まだ冷たい水に頭から浸かって冷え切ったカラダには、こねこのぬくもりがカイロのように感じられた。