恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~


ダンボール箱に貼られた紙には、黒いマジックで、若い女のコ風の丸みを帯びた文字でこう書かれてあった……、

『かわいそうなこの子たちを
  どなたか幸せにしてあげてください』

……って。


「“かわいそうなこの子たちをどなたか幸せにしてあげてください”か……」

貼り紙の言葉を声に出して読んでみる。

「あたしだって……あたしだってかわいそうだよ……誰か……ねぇ、誰かあたしを幸せにしてよ……お願い……お願いだから……」

言ってる途中でまた涙が出てきた。

「うぇ~ん…」

そしてガマンできずに声を上げて泣きはじめてしまった。



「やれやれ。どこで“こねこ”が鳴いてるのかと思ってやってきてみれば、シッポのはえてねぇ“おおねこ”が泣いてやがる」



突然、しゃがみ込んでいるあたしの頭上から、若い男のヒトの声がかけられた。

それも相手を小馬鹿にしたような言い方の。
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