君に…
持ってきていたガーゼのハンカチを浸しては広げて水面に空気を閉じ込めるようにかぶせて、石鹸を充分に溶かしたお湯の中でそのふくらみをつぶす、というやり方でキメの細かい泡を作っていく。


しっかり泡立てられた石鹸の泡を使って洗うことが大事だって。


そう教えてもらっているから、ね。


温かいのがのっていると気持ちいいって機嫌の良い猫みたいな声を出しながら君のすぐそばに膝立ちでソファに乗った僕は、泡が山のようにこんもりと盛られた洗面器を引き寄せて、充分に君の顔を蒸してくれたタオルをゆっくりとめくっていく。


明るくなった、と楽しそうな君には申し訳ないんだけど。
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