君に…
案の定、口を開くことの出来ない君からは不満そうなうなり声があがる。


そして僕に捕らえられていない方の君の手が、宙をさ迷うように移動して僕の頬に当てられた。


君の手のひらは僕の顔を包み込むように広げられて、ゆっくりと撫でていく。


悪戯な指が僕の耳の後ろをくすぐったり、首筋をなで上げたりするのに、僕はたまらずに身をよじる。


「見えてないのに、ズルイよ。」


震える声で僕が告げる。


僕に悪戯するのに見えなくったって平気とか、どれだけ僕ってば君に手玉に取られちゃってるわけ?


そんな気持ちでいる僕に、君はうーっとうなって口を指さして取って欲しいって身ぶりで訴えてくる。
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