秘密な時間



中山さん彼女いたんだ…


心臓が1度大きく音をたてる


ジワジワと身体中に広がる悲しみ



それが瞳まで伝わると

自然と雫にかわり、頬を流れる




今すぐここから逃げたい


だけど



身体が動かない…



莉子はすぐに泣きながら走り去ってしまった



後ろから莉子の名前を呼びながら幸太が追いかけていった




その時、中山さんと目があった




中山さんが近づいてくる



嫌、今は話したくない



重い身体を動かす




走り出してみれば身体は軽くて、どこまでも走っていける



いつもなら、寒くて嫌な風も今はその冷たさが心地よい



いつまでも吹いていてほしい



私の心が寒いのを



風のせいにしていたいから




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