赤い十字架〜レッドクロス〜
「俺がもってあと半年の命だって言ったら藍は悲しむだろう?」

優は私の事を想っていたからこそ言わなかったのだと想った。けれど、解っていてもやっぱり悲しかった・・・。

「だからって・・・!」

泣きそうになった、あんなに大好きだった優が今じゃもう遠くにいる気がしたから・・・。

「解った・解ったごめん。藍」

「バカ!!」

私は優が死ぬまで、優と一緒にいた。半月の間優と一緒に学校に行き、優の周りで、ありとあらゆる事をしてきた。半月後優は・・・優は・・・。優は静かに眠りについた。亜姑姉さんの彼氏、鷹兄さんは亜姑姉さんが眠る寺院にひっそりと暮らしていた。私は・・・私はというと、引越しをして新しい土地、新しい学校 で暮らしていた。
「えー、これから卒業式までみんなと一緒に生活する事になった葵 藍さんです。仲良くしてあげて下さい。」

「葵 藍です。前の学校では皆さん藍と呼んでいました。不束者(ふつつかもの)ですが、よろしくお願いします。」

この学校に来て始めにびっくりした事。それは・・・優と同姓同名がいた事。そのこは、頭もいいし顔も優に似ていた。
彼は、クラスの人気者だった。席は私の隣で家も隣だった。・・・困った。これじゃあ毎日死んだ優と一緒に行っているみたいで・・・。泣きたくなっちゃう。でも、どうにかして頑張らなくちゃ!!
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