アルタイル*キミと見上げた空【完】
「じゃぁ、私帰るね」
「あぁ」
「それでは、お邪魔しました~~」
バイバイと手を振って扉を閉めて出て行くサオリさんの姿に、私は心の隅で少しほっとしていた。
なんか・・・いやな自分がいる。
「ええ~~、サオリさん帰っちゃうの?」
男の子達が騒いでる中で、凱は雄太くんの顔を見つけて嬉しそうに笑った。
「雄太、久しぶりっ」
「凱、お前身長伸びたな~。何食ったんだよ、教えろ」
「ははっ。ここのラーメンと牛乳のお陰だよ、なぁおっちゃん!」
そんな話をしながら雄太くんと話をする凱は、
決して私の方を見ようとはしなかった。
私も・・・凱の顔を見ることはしなかった・・・というより、できなかった。
ちょうどいいタイミングで、サオリさんが現れたことに、
ようやく私の中のブレーキがかかり始めたんだ。
ブレーキを・・・かけないといけないから。
過去の感情に、流されちゃいけない。