アルタイル*キミと見上げた空【完】
「堂島・・・・汐」
「はい・・・?」
そういって監督は、涙を流しながら私の手を握った。
「キミだったのか。凱の・・・」
「・・・・・」
「エス。シオのsだ・・・・」
「?」
「ごめんごめん。凱の父親に最後会ったのは私なんだよ。あの日、『兄貴すごいプレゼントが出来た』って喜んで見せてくれたんだ。GとSがついた二つのキーホルダーだった・・・・。Sってどんな子だよ?って聞いたら、秘密だよ、って。いずれ凱が連れてくるよ、って。ヒントは・・・・海に関係する名前、かな。って・・・」
凱・・・・。
「そう、キミなんだよ。凱が、そして凱の父親がこのキーホルダーをあげたかった子っていうのは」
涙が頬を伝って静かに落ちていった。