7年目の浮気
香織は位置を変え、芳雄を真っ直ぐに見た。

それは、茉莉花とはもう長い期間付き合う内に失ってしまった新鮮さとか、鼓動とか、動揺にも似た感情だった。

そして、未だ支配していない、しかし手を伸ばせば手に入れることができる、征服欲のようなものが自身の身体をじわりと熱く巡ってくるのを、芳雄は久しぶりに感じた。

「酒田さん、」


芳雄は香織の手を取った。
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