姫に王子のくちづけを…






『でさ~…』


『あ、それアリじゃない…』


『…でも…』







キャハハと笑いながら

この教室の前を通る女の子たちの声






…その声で

夢の中に入りかけていた頭が一気に覚醒した










「か、彼方!離してっ…」


だって…


だって彼方には森永先輩が…







『…お前、何で泣いてんの』



…言われて気がついた


私の頬に滴る無数の涙を






彼方は私の涙を親指でぬぐう



『…そんなに俺が嫌いかよ…そんなに晴臣って奴の方が好きなのかよ』





静かな声だった


怒ってるわけでも
呆れてるわけでもない





…しいて言うなら

泣いているような…







私は首を横に振った



違う…





「違うの…」










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